寒蝉鳴

随分と早いように思うし、しかし早くから準備するに越したことは無いのかもしれないが、ただ一つ言えることは現代でも未だそのシステムが稼働している点に感心した。

お前に見合いの話が出ていると、母から連絡があった。本来であればお盆に帰った際に話をするつもりだったらしいが、この時勢なので電話での打診となった。もう昨年の正月以来両親をはじめ身内に一切会っていないが、両親とは頻度こそ少ないものの電話で会話はしている。これまでの電話での会話を振り返ったが、見合いなどそんな素振りは一切なく、いつどこからそんな話が出たのか全く想像がつかなかった。突然の「見合い」の言葉に面食らった僕は、この後ガス設備点検のために人が来るからまた夜に連絡すると電話を切った。なお、ガス設備点検は先週終わっている。

電話を切って思ったことは、なぜ僕に?であった。四十目前になっても結婚相手がいなければ見合いの話が出ても納得だが、まだまだそんな年齢ではない。ではお前はその年齢までに結婚できるのか?結婚相手がいると胸を張って言えるのか?と問われると、それはそれで返答に窮する。学生時代に二人と付き合ったが、どちらも数か月で終了している。これは色々な理由があってそういう結果になったのだが、ただその時の経験から気付いたことは、自分は相当努力しないと他人と生活を共にするのは非常に困難だということだった。

この時勢なので顔合わせは当分先になりそうだが、まずは見合いをする意志があるか、無いかをはっきりさせなければならない。